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アガベ  ‘オアハカ オテロイ’ |  メキシコの風が刻む、白縁の王冠。

アガベ  ‘オアハカ オテロイ’ |  メキシコの風が刻む、白縁の王冠。

アガベ オアハカ オテロイ

 

基本情報

  • 学名:Agave oteroi(流通名:オアハカ オテロイ)

  • 科・属:キジカクシ科 アガベ属

  • 原産地:メキシコ・オアハカ州(石灰岩質の斜面や岩場)

  • 形態:常緑多年草/ロゼット型・中~大型、肉厚で幅広の葉と白~乳白色の鋸歯・長いトップスパイン

  • 生育リズム:春~秋に生長が進み、盛夏と冬は緩慢

  • 流通形態:現地株(ベアルート輸入)・現地実生・国内実生など。個体差が非常に大きい

 

特徴と魅力

オテロイは、厚みのある葉に波打つ鋸歯が連なり、ロゼットは低重心に構えます。葉色は濃緑~ライムグリーンまで振れ幅があり、縁を走る白い鋸歯によって、輪郭が強く立ち上がるのが印象的です。現地株は長年の風雪で葉先や縁が荒々しく、同じ“顔”が二つと無い唯一性も大きな魅力です。

もうひとつの魅力は“育てるほど締まる”完成度。光と風が整うと葉は分厚く、トップスパインはより明瞭になり、葉数が積み上がるごとに迫力を増します。

──強光を受けたロゼットは、銀の鎧をまとった王冠のよう。淡い葉色と白い歯のコントラストは、ミニマルな宝飾品の気品すら感じさせます。

 

成長過程や季節ごとの変化

春から初夏にかけて新葉が展開し、成長に伴ってバンド幅が増します。真夏は高温と蒸れで動きが鈍るため通風重視。秋は再びボリュームを増し、冬は代謝が落ちて休みがちになります。現地株は取り込み直後にロゼットがいったん“開く”ことがありますが、根が張り環境が合ってくると次第に締まり、個体本来の造形に近づいていきます。

 

育て方

:基本は“強めの光+良風”。屋外は日当たりで、真夏の直射が強すぎる環境では20%程の軽い遮光。室内は南向き窓+サーキュレーター、補光LEDを近めに(徐々に距離を詰めて葉焼け回避)。

:生育期は“しっかり乾いてから鉢底抜けするまで”。受け皿に水を溜めない。真夏と冬は回数を減らし、間隔を長めに。根張りが浅い導入初期は控えめにして根の再生を待つ。

:排水・通気最優先。硬質赤玉・軽石(パミス)・日向土など無機主体に、必要最小限の有機分。鉢は水抜けの良いものを。石灰岩質環境を意識し、極端な酸性は避ける。

温度:生育適温10~30℃。霜・凍結は厳禁。寒冷地は冬は明るい室内へ。季節の出し入れは数日かけて慣らす。

肥料:与え過ぎには注意。春・秋に緩効性肥料をごく控えめ、もしくは薄めの液肥を月1回程度。与え過ぎると形が緩みやすい。

 

育てる際の注意点

  • ベアルート導入時:まずは清潔な用土で浅植えにし、数日は乾燥気味。その後、午前中に軽く与えて乾き具合を観察。根が動いたら通常管理へ。

  • 光量不足・通風不足:ロゼットが“開く”“徒長する”原因。置き場所の改善が最優先。

  • 葉焼け:急な強光で褐斑が出ると戻らない。遮光・距離調整を段階的に。

  • 過湿・根腐れ:停滞水を作らない。水は“乾いてから”。

  • 病害虫:カイガラムシ・ハダニ・夜間に葉をかじる害虫など。定期観察と早期対処を習慣に。

 

雑学コラム

2019年の学術的整理でAgave oteroiの定義と主な分布域(オアハカ州)が明確になり、現地ではタイプの異なる“顔”が次々に紹介されるようになりました。現地株は長い時間を野外で過ごしてきた跡が葉の傷や枯葉痕として残ることがあり、これを“味”として愛でるコレクターも少なくありません。輸入時はベアルート(根と土を外した状態)で来日するため、発根管理がひと仕事ですが、その“立ち上がり”を観察できるのも現地株の醍醐味。オアハカはメスカルの本場としても知られるアガベ文化の地で、野生由来の多様性が園芸の世界にも豊かな表情をもたらしています。

 

まとめ

オアハカ・オテロイは、力強い葉と白い鋸歯、低重心で締まるロゼットが魅力の中~大型アガベです。導入直後のケアこそ要点が多いものの、

  1. 強い光と十分な通風、

  2. 乾湿メリハリのある水やり、

  3. 排水・通気に優れた用土、

    この三つを押さえれば、個体本来の迫力が楽しめます。個体差の大きさは“選ぶ楽しみ・仕上げる楽しみ”そのもの。ぜひ心惹かれるむ一株を迎え、時間とともに輪郭が際立っていく過程を味わってみてください。

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