アガベ チタノタ ‘白鯨’|白い鋸歯が輝く、緑の巨獣
アガベ チタノタ ‘白鯨’|白い鋸歯が輝く、緑の巨獣
基本情報
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和名:白鯨(はくげい)
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学名:Agave titanota ‘White Whale’(流通名・選抜名)
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科・属:キジカクシ科 アガベ属
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形態:常緑多年草・多肉質 幅広の葉と白~淡色の鋸歯、ロゼット径は中型
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生育タイプ:春~秋に生長が進み、冬は緩慢
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開花:稀。開花後は親株が寿命を迎える
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入手:実生・株分け由来が流通。選抜系統に幅があり、個体差が大きい
特徴と魅力
白鯨の第一の魅力は、厚く幅のある葉と、波打つように並ぶ白い鋸歯。ロゼットは球を抱くように締まり、視線を中心へ導きます。濃緑~青緑の葉に白い鋸歯が描くコントラストは、磨りガラスに彫られたレリーフのように端正で、近くで見るほど精巧さが際立ちます。
もう一つの魅力は、育てるほど表情が深まること。日照と風を十分に受けると葉は厚みを増し、鋸歯はくっきりと際立つ。整ったロゼットは、小さな彫刻作品さながら——棚に置けば一点のミニマルアート、光を浴びれば白い縁が宝飾の縁取りのように輝きます。
成長過程や季節ごとの変化
春~初夏に新葉の展開が活発になります。盛夏は高温と強光で動きが鈍ることがあり、通風と適度な遮光で葉焼けを回避。秋は再び生長が乗り、冬に向けて葉が厚く充実します。冬は低温で代謝が落ち、給水を控えめにした乾燥気味管理が安定。成熟株は球状に近づき、トップスパインや鋸歯の存在感が増して“完成度”が上がっていきます。
育て方
光:基本はよく日の当たる場所。通年しっかり光を確保すると葉が厚く締まります。真夏の直射で葉焼けの気配があれば、20~30%の軽い遮光。室内栽培は南向き窓際+サーキュレーターで通風を補い、必要に応じてLEDを併用。
水:生育期は「しっかり乾いてからたっぷり」。鉢底から流れるまで与え、受け皿の水は溜めない。真夏と冬は間隔を長めに。過湿は根腐れの主因です。
土:水はけ最優先。硬質赤玉・軽石・日向土などの無機質主体に、必要最小限の有機分をブレンド。石灰岩質を好む性質に合わせ、pHは弱酸~中性で安定させます。
温度:生育適温は概ね10~30℃。霜・凍結は避け、寒冷地では冬は屋内の明るい場所へ。急激な環境変化は葉焼け・萎れの原因になるため、屋外⇔屋内の出し入れは数日かけて慣らします。
肥料:与えすぎると形が緩むため控えめに。春と秋に緩効性肥料を少量、もしくはごく薄い液肥を月1回程度。肥料は“質感を整える補助”として少量主義で。
育てる際の注意点
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過湿・停滞水に弱い:根は酸欠に敏感。粗い用土・風通し・水やり間隔の3点で予防。
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葉焼け:環境を急に変えず、遮光は段階的に。焼け跡は戻らないため、予防が肝心。
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徒長:光量不足や通風不良でロゼットが開きがち。置き場所の見直しを最優先に。
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病害虫:カイガラムシ・ハダニ・夜間加害のナメクジ等に注意。定期観察と早期対処。
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同定の混乱:白く長い鋸歯や締まった球状ロゼットが目安。似た系統(夕映系、斑入り選抜など)は葉の反り方や鋸歯の色・形に差が出ます。購入時は信頼できる購入先で。
雑学コラム
“白鯨”という愛称は、日本の愛好家が白く際立つ鋸歯を捕鯨の泡しぶきになぞらえたことに由来すると語られることが多く、その後台湾選抜や各地の実生選抜が加わって表情豊かな系統が広まりました。アガベは本来、長い歳月を経て花茎を上げ、種子を残して親株は役目を終えます。鉢の中でもその営みは変わらず、長期戦ゆえのロマンがあります。市場では名前だけが独り歩きすることもあるため、ラベルより“株の顔”を見る——これが白鯨選びのコツです。
まとめ
白鯨は、幅広い葉と白い鋸歯が描く鮮烈な造形、そして育てるほど締まりと迫力が増す“育成の手応え”が魅力のチタノタ系選抜です。ポイントは①十分な光と通風し、②徹底した排水性、③控えめな水と肥料。これらを押さえれば、初心者でもロゼットが引き締まり、上質な“球の姿”に近づけます。コレクションの核にも主役にもなる一株。時間を味方に、あなたの手で仕上げていきましょう。
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