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ユーフォルビア バリダ |残された花柄が紡ぐシルエット

ユーフォルビア バリダ |残された花柄が紡ぐシルエット

ユーフォルビア バリダ

 

基本情報

  • 和名:万代(ばんだい)

  • 学名:Euphorbia meloformis ssp. valida(流通では E. meloformis と表記される場合あり)

  • 科・属:トウダイグサ科 ユーフォルビア属

  • 原産地:南アフリカ 東ケープ州(グラハムスタウン北方〜ステイトルービル一帯)

  • 自生環境:標高約500〜1,000mの乾燥草原、緩やかな斜面や岩間

  • 形態:8〜12稜の球状〜やや円柱状、直径約10cm・高さ20cm前後

  • 生育タイプ:春秋型

  • 繁殖:実生(雌雄異株のため結実には両株が必要)、子株のカキ仔・さし木

  • 特記事項:開花後の花柄が硬化し長く残る

 

特徴と魅力

バリダの最大の見どころは、放射状に伸びる硬化した花柄(かへい)です。枯れ枝のようでありながら、株の輪郭を凛と引き締め、独特の彫刻性を与えます。球体表面には濃淡のストライプが浮かび、まるで細工の行き届いた古いゼブラ柄のカメオのよう。個体差が大きく、縞がくっきり現れる株ほど希少価値が高くコレクション性をくすぐります。

もうひとつの魅力は、形の安定感。適切な光と風があれば、丸いフォルムを保ったまま、頂部や稜沿いに小さな花をつけ、やがて花柄が“記憶の線”として残ります。その姿は、時間を刻むジュエリーのように静かで上品——棚に置くだけで小さなアートピースが生まれます。

 

成長過程や季節ごとの変化

春と秋に活動が活発になり、稜に沿って新しい成長線が現れます。初夏には短い葉を出すことがありますが、乾燥期には早めに落葉し、体内の水分でしのぐ多肉的な挙動を見せます。高温期は夜温が下がりにくいと動きが鈍るため、生長は一休み。冬は基本的に休眠し、明るい場所で乾燥気味に管理します。株によっては基部から子株を吹いて群生株になることもあり、成熟株では花柄が年輪のように増え、風格が増していきます。

 

育て方

・光:一年を通して明るく、直射と風通しを両立。強光期は20〜30%程度の軽い遮光で日焼けを回避。光が足りないと頂部から徒長し、球形が崩れます。風が弱い室内ではサーキュレーターで通風を補うと形が締まります。

・水:成長期は「用土がしっかり乾いてからたっぷり」。本種は体内に水を蓄えるため与えすぎ厳禁。真夏は間隔を長めに。冬は断水〜控えめ灌水が基本ですが、細根の枯死を防ぐため月1〜2回、午前中にごく軽く湿らす程度の給水も有効です(夜までに乾く量)。

・土:排水重視の多肉・サボテン用配合。赤玉小粒・軽石(パミス)・硬質鹿沼などを主体に、有機分は控えめ。鉢は通気性のよいものを。

・温度:霜・凍結は避け、冬は目安として最低3℃以上を確保。休眠期も日の差す場所に置くと株温が上がり耐寒性が増します。

・肥料:少量で良い。元肥に緩効性肥料を少なめに混ぜ、成長期にごく薄い液肥を時々。与えすぎは肥大化や形崩れの原因に。

 

育てる際の注意点

  • ユーフォルビアの乳液は皮膚・粘膜を強く刺激します。植え替えやカキ仔の作業時は手袋で保護し、付着時はすぐに洗い流しましょう。

  • 根張りは繊細。過湿で腐りやすく、逆に長期の完全断水でも細根が傷みます。鉢内が早く乾く配合と、季節に応じた“控えめな水”のさじ加減が肝心です。

  • 環境が変わる直後は日焼けしやすいので、段階的に日照を強めます。

  • 光不足は徒長・変形の大きな要因。置き場所と通風の確保を最優先に。

  • 種を採るにはオス株とメス株が必要。見分け方はオベサと同じなのでこちらの記事を参考に。

 

雑学コラム

学名の種小名“valida”はラテン語で「頑健な、よく発達した」の意。和名「万代」は“永く続く”ニュアンスを帯び、花柄がいつまでも残って株の履歴を物語る様子に響き合います。近縁のEuphorbia meloformis(富貴玉)との関係が議論され、meloformisの亜種とされる扱いもしばしば。観賞面では、花柄が太く長く残る“スーパーバリダ”、縞模様が際立つ“ゼブラ”系などタイプが多彩で、専門店で好みの個体を探す楽しみがあります。自生地では乾いた斜面や岩の隙間に張り付き、限られた雨を逃さず吸収しながら小さな体で季節をやり過ごす——そんな生態を知ると、鉢の上でも“締まり”を重視した管理が腹落ちします。

 

まとめ

万代は、丸い本体と残る花柄がつくる彫刻的な景色、そしてゼブラ模様の表情が魅力の球状ユーフォルビアです。光と風をうまく整え、乾いたら与える慎重な水やり、控えめの肥料——この3点を守れば、初心者でも美しい姿を保てます。個体差が大きいので、模様や花柄の“残り方”で心惹かれる一株を。手のひらサイズの小さなオブジェが、季節の移ろいを静かに教えてくれます。

 
 

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