ケラリア ピグマエア( Ceraria pygmaea)
ケラリア・ピグマエア | 小さな巨木
植物の基本情報
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学名:Ceraria pygmaea
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科属:スベリヒユ科 ケラリア属
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原産地:南アフリカ・リフタスフェルトからナミビア南部(リューデリッツ周辺)にかけての丘陵地帯や峡谷の岩場
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特徴分類:冬型コーデックス(真夏以外は成長する)
特徴と魅力
ケラリア・ピグマエアは、わずか数十センチの株姿に「古木の威厳」を凝縮したような存在感を持ちます。ごつごつとした樹皮は、まるで何百年もの風雪を耐え抜いた大木をそのまま小さくしたかのよう。その表情に、つややかで丸みを帯びた葉が添えられる姿は、力強さと可憐さの絶妙な調和を見せてくれます。
葉は卵形からハート形に近いものまで個体差があり、うっすらとブルームをまとった青緑色をしています。その姿は小さな翡翠の粒が幹の上に並んでいるよう。
成長は非常に緩やかで、幹が直径 10cm を超えるには数十年を要するほど。園芸家にとって「時間とともに育てる楽しみ」を与えてくれる植物です。
雌雄異株で、株が成熟すると春先に小さな花を咲かせます。雄株は淡い黄緑色、雌株は薄桃色の花をつけ、どちらも素朴で控えめながら、株全体の風合いに華やぎを添えます。
成長過程や季節ごとの変化
ケラリア・ピグマエアは冬型植物に分類されますが、実際のリズムはやや複雑です。春と秋の昼夜の寒暖差がある季節によく成長し、夏は成長が鈍る傾向があります。ただし、完全に落葉せずに夏を過ごすことも珍しくありません。
ゴールデンウィークを過ぎる頃になると徐々に休眠に入り、葉が黄色みを帯びたり、用土の乾きが遅くなるなどのサインを見せます。完全休眠に入った株は水の吸収が弱まるため、観察を怠ると根腐れを招くことがあります。秋になると再び新芽を展開し、丸みのある葉が生き生きと増えていきます。成長はとても遅いものの、その分、一年を通して株姿に大きな変化が少なく、盆栽的な美しさを楽しめるのも魅力です。
育て方
光:
成長期(秋〜春)はできるだけ日光に当てて育てます。光が不足すると枝が徒長し、葉が細長くなりがちです。夏は直射日光を避け、20〜30%程度の遮光下で風通しのよい場所に置くのがおすすめです。
水やり:
秋~春は成長が活発なため、用土が乾いたタイミングでたっぷりと与えます。夏は休眠気味になるため水を控え、細根が枯れないよう、1週間に1回、葉水程度与えます。。水切れよりも過湿による根腐れの方がリスクが高いので注意が必要です。
土:
水はけのよい用土を好みます。赤玉土や軽石、パーライトなどをベースにした配合が適しています。直根を持つため、栽培には深鉢を用いると安定して育ちます。
温度:
涼しい気候を好み、5℃以上を保てれば越冬可能です。真夏の高温多湿を苦手とするため、風通しと遮光が欠かせません。
肥料:
成長期に薄めた液肥を月に1回程度施すか、秋口に緩効性肥料を与えます。微量元素を含んだ肥料を与えると株の健全な成長に役立ちます。
育てる際の注意点
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成長が非常に遅いため、焦らず長期的な視点で管理すること。
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夏場の蒸れに弱いため、必ず風通しを確保すること。
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休眠期には用土が乾きにくくなるため、水やりを控えめにすること。
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成長した株は枝が入り組み、ダニなどの害虫が潜みやすいため定期的に観察すること。
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挿し木で増やすことは可能ですが、野生株や実生株に見られるような単一の塊根は形成されにくい点に注意。
雑学コラム
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種小名「pygmaea」はギリシャ神話に登場する小人族「ピグミー」に由来し、「小さな」「矮性の」という意味を持ちます。その名の通り、ミニチュアの樹木のような株姿が名前とぴったり一致します。
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1926年に記載された当初はポーチュラカリア属に分類されていましたが、1996年にイギリスの植物学者ゴードン・ダグラス・ラウリー博士によってケラリア属に再分類されました。
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かつては乱獲により絶滅の危機に瀕したこともあり、現在は保護の対象となっています。園芸用の株は種子繁殖や栽培株からの増殖によるものが流通しています。
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盆栽愛好家の間では「小さな大樹」として人気があり、時間をかけて育て上げる楽しみが高く評価されています。
まとめ
ケラリア・ピグマエアは、成長こそ遅いものの、その姿はまるで自然がつくり出した芸術作品のようです。小さな鉢の中で数十年の時を刻み、幹や枝葉が少しずつ変化していく過程は、植物と共に暮らす喜びを深く味わわせてくれます。管理にはやや注意が必要ですが、その分、株が元気に育ったときの喜びは格別です。ゆったりとした時間の流れの中で「小さな古木」を育てる──それがケラリア・ピグマエアの最大の魅力といえるでしょう。
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