パキポディウム・グラキリス (象牙宮)
パキポディウム・グラキリス(象牙宮)
基本情報
パキポディウム・グラキリス(学名:Pachypodium rosulatum subsp. gracilius)は、キョウチクトウ科に属する塊根植物です。和名では「象牙宮(ぞうげのみや)」と呼ばれ、その名のとおり、象牙の彫刻のように優美な姿をしています。名前の「パキポディウム」はギリシャ語の「太い足」に由来し、まるんと肥大した幹を象徴しています。
原産地はマダガスカル南西部。特にイサロ国立公園と呼ばれる岩山や峡谷が広がる地域で自生しています。過酷な乾季と短い雨季を繰り返す気候の中で、幹に水を蓄える仕組みを進化させました。現在知られているパキポディウムの25種のうち、20種以上がマダガスカル固有という点からも、この島の特異な生態系を物語っています。
特徴と魅力
グラキリスの魅力をひとことで表すなら「マダガスカルが生んだ芸術品」。その幹はボッテリと丸みを帯び、現地球は光を浴びると銅や銀にきらくメノウのような表情を見せてくれます。これは長い何月をかけてゆっくり育ってきた自生株独特の特長です。
枝先に揺れる細い葉は、ラテン語で「優美・細長い」を意味する“gracilis”の名にふさわしく、軽やかで柔らかい印象を与えます。そして夏になると、20cm以上の花茎を伸ばし、鮮やかな黄色い花を咲かせます。その姿は、無骨なボディに黄金の冠を飾ったようで、そのギャップがとても魅力的。
成長過程や季節ごとの変化
マダガスカルでは、雨季に栄養を蓄え、乾季に耐えるというサイクルを繰り返しています。日本の四季に当てはめると、春から秋にかけて旺盛に成長する「夏型」の植物です。暖かい季節には葉を茂らせ、幹を太らせながら成長し、やがて晩秋になると葉を落とし始めます。冬は休眠期に入り、外見上は動きを止めますが、体内では次の季節に備える準備が進んでいます。
春、再び新芽を吹く瞬間は特に感動的です。長い眠りから目覚めるように緑をまとい、再び生命力を輝かせる姿は、育てる人にとって最も待ち望んだ瞬間と言えるでしょう。
育て方
光:強い日差しを好むため、春から秋は屋外で直射日光に当てるのが理想です。室内では日照不足になりやすいため、植物用LEDライトを補助に使うと安定します。
水:成長期は「乾いたらたっぷり」が基本。用土が完全に乾いてから、鉢底から水が流れるほど与えます。休眠期には断水、もしくは霧吹きで軽く湿らせる程度に抑えます。
土:水はけ重視。赤玉土や軽石をベースにした多肉植物用土が最適です。通気性の悪い土では根腐れを招きやすいため注意しましょう。
温度:最低気温7℃以上を保つことが望ましい。冬は室内に取り込み、窓辺などで管理しますが、夜間の冷え込みには注意する。
肥料:成長期に月1〜2回、薄めた液体肥料を与えます。与えすぎると枝が徒長し、幹とのバランスが崩れるので控えめに。
育てる際の注意点
・植え替えは春に行うのが安全。根がデリケートなため、細根を傷めないよう丁寧に扱いましょう。
・現地株(輸入株)はワイルドな魅力がありますが、日本の環境に馴染みにくく、発根に失敗することも。初心者には国内で育てられた実生株が向いています。
・幹にあるトゲは硬いサボテンほどではないものの折れやすいため、取り扱いに注意。
・パキポディウムには有毒成分が含まれるため、犬や猫などのペットがいる家庭では誤食防止を徹底してください。
雑学コラム
マダガスカルは約8800万年前に大陸から分離し、独自の進化を遂げた島です。そのため、パキポディウムをはじめとするユニークな植物が多数存在します。かつてグラキリスの樹液は、現地で心疾患の民間薬として用いられたと伝わります。
しかし、近年は観賞用としての人気が高まりすぎ、乱獲による絶滅の危機が指摘されています。現在、すべてのパキポディウムはワシントン条約(CITES)の規制下にあり、国際取引には輸出許可証が必要です。日本に流通する株には、正規に輸入された「現地株」と、国内で種子から育てられた「実生株」があります。現地株は自然が生んだ力強さを感じさせますが、輸入後数年の栽培難易度は高め。一方、実生株は日本の気候に適応しているため育てやすく、丈夫という魅力があります。
まとめ
パキポディウム・グラキリスは、乾いた大地が生んだ奇跡の造形美。丸みを帯びたボディと鮮やかな花は、見る人の心をとらえる生命の彫刻です。育てるには光・風・水のバランスを意識し、日本の四季に合わせた管理を行うことが大切です。
ひと鉢のグラキリスを手元に置けば、日々の暮らしの中で小さなマダガスカルの風景を感じることができます。安価な植物ではありませんが、その分だけ、育てる喜びと美しさは格別です。
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