灌木の剪定|切る場所やその理由、よくある失敗を解説
購入した植物をもっとカッコよく仕立てたい。混み合った枝を整理して健康に育てたい…
剪定にはいろいろな目的があり、その方法も様々です。今回は初めての剪定の際に迷いがちなポイントやよくある失敗例を交えて、灌木の剪定方法について解説します。
なぜ剪定が必要なのか
剪定の主な目的は以下のものです。
・形を整える
美しい樹形やデザインを保つ。庭木や盆栽で重要。
・風通し・日当たり改善
枝を間引いて空気や光を通し、健全な成長を促す。
・病害虫予防
枯れ枝や混み合った枝を除き、病気や害虫のリスクを下げる。
・大きさの調整
成長をコントロールし、スペースに合ったサイズを保つ。
・若返り(更新剪定)
古い枝を切って新しい枝に更新し、長く健康を保つ。
一言でいえば、カッコ良く健康に育てるために必要不可欠なのが剪定です。
剪定に適した時期
剪定に適した時期は、その植物の育成シーズン初期です。夏型であれば5~6月、冬型であれば10~11月ごろです。落葉する植物に関しては、新葉がある程度展開しきった頃に行うと良いです。休眠期明け直前に行っても良いのですが、葉が展開してからの方が剪定後の樹形をよりイメージしやすいのでお勧めです。ちなみに真夏と真冬はその植物の成長シーズンだとしても暑さ寒さが厳し過ぎるため、剪定後になかなか芽吹きが始まらなかったり、調子を崩す原因にもなります。そういった時期に選定をする際は、特に剪定後の環境には気を使って管理してあげてください。
剪定の方法
①全体を見て、剪定後の理想の形をイメージする
高さを抑えて太らせたい、元気よく枝を広げたい、流れのある樹形を作りたい、などなど。
②切る場所を決める
剪定後の新芽は、「切ったカ所のすぐ下の葉、又は枝」の付け根から出てきます。この習性を利用して、どこから新芽を展開させるのかをある程度コントロールすることができます。新芽を出す「位置」と「向き」を確認しながら、①でイメージした樹形に近づくように剪定位置を決めていきます。
③清潔なハサミでカット
切り口から雑菌やウイルスが入らないよう、消毒した清潔なハサミを使いましょう。なるべくカット面が枝と垂直になるように切ります。断面がつぶれないように切れ味よい剪定ばさみを使いましょう。剪定に弱い植物や切った枝の径が太いものは、必要に応じて癒合剤で切り口を保護しましょう。
④剪定後の管理
剪定後は人間で言うところの怪我をした状態になっていいます。直射日光を避け(約50%遮光)風通しの良い場所で管理しましょう。強剪定した場合は蒸散量が少なくなっているので、あまり水を吸わなくなっていますので、根腐れに注意しましょう。切り口がしっかり乾燥して新芽が展開してきたら、徐々に陽の当たる場所に移動してあげましょう。
よくある失敗
・剪定後の成長が止まる(最悪の場合枯れる)
剪定後成長が止まってしまうのは、剪定によるストレスが多きる場合が多いです。初めて特に初めて剪定する植物に関しては1週間おきなど何回かに分けて、様子を見ながら剪定すると安心です。庭木などでは「3分の1ルール」というものがあり、剪定する量は「全高の3分の1」または「全枝の量の3分の1」までにしておきましょうという目安があります。実生株の強剪定などはこの限りではないのですが、一つの目安とするのもいいでしょう。また夏型冬型という分類がありますが、夏型であっても特に真夏は剪定後に拗れてなかなか動きださないことがあるります。育成シーズン初期がおすすめですが、そのタイミングを逃した場合は暑さのピークが過ぎてからが安心です。また植替え直後で根が弱っているタイミングの剪定は避けましょう。しっかりと養分を吸収てきていない状態なので、新芽を出す体力がない場合があります。
・理想の樹形にならない
剪定を繰り返しても、なかなか自分の納得いく樹形にならないことも有ると思います。先にも説明した通り、剪定後の新芽がどこから出てくるのか、ある程度のセオリーはありますが、植物によっても多少のクセがあったりします。こればかりは多少の慣れも必要かもしれません。自分の理想とする株の写真などを観察して、どうしてその株がカッコよく見えるのか考えてみるのもかもしれません。また同じ植物であっも剪定ではどうしても埋まらない壁と言うのも確かにあります。特に幹を太らせたい場合などは、剪定技術も重要ですが、その個体の持つ素質も重要な要素になることがあります。
と言うことで、剪定って意外と奥が深いですよね!技術ももちろんだけど、その人の感性やセンスによって全く違う仕立てになったりします。同じ植物でも、その個体の素質や、目指すタイルによって同剪定するかが違ってきます。もう持っている植物でも2株3株と欲しくなってしまう理由ではないでしょうか。私は最近は、自分の好きな仕立てよりも、その個体が持つ素質を一番引き出せる剪定をすることを意識しています。皆さんも剪定を駆使して理想の樹形を追い求めて園芸を楽しんでみてください。
memo
・灌木とは、、
今回は「灌木」剪定の方法を解説しましたが、そもそも灌木ってなんでしょうか。一般的には①「3m以下の低木」で、②「幹がはっきり分かれておらず地面から複数の枝が出る」植物のことを差します。日本で馴染みのものだとアジサイ、ツツジなどがそれにあたります。ちなみに灌木の対義語的なものにあたるのが「高木」で、代表的なものはケヤキ、スギなどです。当ブログでもよく扱う、ブルセラ、コミフォラ、パキプス、アデニウムなどは厳密には灌木の特長に当てはまらないことも多いですが、園芸界隈では一般的に灌木として扱われます。理由としては①「幹がまっすくではない」②「鉢植えならそこまでおきくならない」からだと思っています。
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