【アガベ】メリクロン株の育て方、特長・メリット・デメリットは?
最近よく耳にするアガベの「メリクロン株」というワード。
そもそもメリクロン株とは何なのか。普通の株とはどう違うのか。
メリクロン株を育てる上でのメリットとデメリット(リスク)は何なのか。
今回はそこらへんを解説していきます。
またメリクロンが普及するこにより何が起こるのか…
巷で囁かれる業界衰退は起きてしまうのか…
メリクロン株とは
メリクロン株とは超簡単に説明すると「アガベの成長点を取り出して人工的に培養した株」です。
この時、ほんの数ミリの成長点を親株となるアガベから取り出しますが、その成長点をさらに細かく分けて培養します。
つまり一つの親株から相当量のクローン株をつくることが出来ます。
メリクロン株はTC株とも言われますが、TCとはティッシュカルチャーの略で「人工的に培養された」的なニュアンスだと思っていただければOKです。
メリクロン株の特長
メリクロン株は言ってしまえば親株のコピー株です。
ですので理論的には、成長すれば親株と全く同じ姿の株になります(育成環境等によって多少は変わってきます)。
これがメリクロン株の最大の特長です。
しかしそれがときにメリットでありデメリットとなることがあります。
厳密にはメリクロン株をつくる工程にその要因があるともいえるのですが、次の項で詳しく説明していきます。
メリクロン株を買うメリット①|良型に育つ確率が高い
基本的にメリクロン株をつくるにはかなりのコストと手間暇がかかっています。
ですので親株に選定される株も超S級の株である確率が高いです。
誰だってコストと手間暇をかけてフツー株のコビーを量産しようとはしないですよね。
2023年11月現在、市場に出回っているメリクロン株のほとんどが子株という状況です。
成長して親株の特長がでた株が出回るまであと1~2年かかると思いますが、おそらくかなりカッコイイ株が出回るようになっていると思います。
メリクロン株を買うメリット②|成長が早い
メリクロン株は「ほぼ無菌の状態」で培養され、その都度必要な「成長ホルモン」を添加し強制的に細胞分裂させて成長させていきます。
一説によるとこの「無菌状態」が成長速度を速めているとされます。
実は自然界のすべての植物は菌に感染していて、この菌が0だと最長速度はもっと早くなると言われています。
そして「培養時の成長ホルモンの添加」もその後の成長速度が速いということに何らかの形で関係しているのではないかと思います。
私が実際にメリクロン株を育てている体感としても成長作度が早いというのは事実だと感じます。
メリクロン株を買うメリット③|安価
実はメリクロン株をつくるには膨大なコストがかかります。
しかしアガベの元々の値段が高いので、メリクロンで大量に生産されると安くなるという逆転現象が起こっています。
1株数万円が1株数千円になれば安いと感じますよね?
そもそも植物が1株数千円、それも子株で。と聞くと高いと感じますよね?
しかし、有名なネームド株の子株が数千円と聞くと安いと感じますよね?そういうことです笑
メリクロン株を買うデメリット①|子株のうちは通常より溶けすい?
メリクロン株は生まれたときから無菌状態で過保護に育てられています(自然界ではありえない環境ですね)。
無菌状態から通常の育成環境に慣らしていく過程を「順化」と言います。
メリクロン株の子株を購入した際によく起こるのが「育成開始後すぐに溶ける」という問題。
これは子株が完全に順化する前に販売されることによって、その後の輸送や植え替えのストレスに耐え切れずに溶けてしまうということです。
順化してしまえ通常通りとても丈夫なのですが、あまり小さい株を購入すると溶けてしまうというリスクは高くなります。
メリクロン株を買うデメリット②|成長過程で変異しやい?
メリクロン株は培養時にホルモン剤で強制的に細胞分裂を促しているので、その影響が株が大きくなってから現れるという可能性も否定できません。
私はまだそのデータが取れるほどの数を育成していないので確証を持って断言することはできませんが、実際に奇形率は通常の株よりは多いようです。
ただ自然界にも綴化など突然変異株はあるので、すべての奇形株をメリクロンのせいにすることはできないと思います。
それは今後メリクロン株が普及していく中で徐々に解っていくのではないでしょうか。
メリクロン株を買うデメリット③|そのメリクロン、本物…?
メリクロン株は理論的には親株と同一の姿に成長するコピー株です。
しかし、親とされる株の写真は本当にそのメリクロン株の親なのでしょうか…?
また、販売側が極普通の実生苗を有名ネームド株のメリクロンとして販売して売る可能性はないでしょうか。
実際に有名ネームドのメリクロンとして流通している株を見てみると、
ほとんどの株が「自分が実生を選抜するならこの株は選抜しないなぁ」という見た目をしています。
もしかしたらメリクロン株の初期は鋸歯が出にくいという特性があるのかもしれませんが、それを逆手にとって販売者側が悪意を持って不正をしていたら…
またOC株(オリジナルクローン株=胴切りカキコなどで増やした株)と偽ってメリクロン株を販売していたとしたら…
疑い始めたらキリがないのですが、その可能性もあるということです。
いまのところ対策としては、信頼のおける販売者から購入するか自分でメリクロンするくらいしか
ないというのが現実です。
メリクロン株の育て方
メリクロン株の育て方については通常の株の育て方と同一で問題ありません。
ただ気を付けて欲しいのが先ほども述べた通り、完全に順化していない株を購入した時です。
こういった株は衝撃や環境の変化に対してとても敏感な面があります。
植え替えや水やり、使用する用土に関しては少し慎重になった方がいいでしょう。
個人的な目安としては扇状に生えている葉が旋回(ロゼット状に展開)してきたら溶けやすい期間は乗り切ったと思っています。
順化さえしてしまえば、アガベらしくとても丈夫なので心配いりません。
メリクロン株が普及する未来
アガベメリクロン株の登場は趣味家、販売者、双方にとって良い面とそうでない面をもたらしました。
まず、趣味家からしたメリットは質のよいネームド株を安く購入することが出来るということです。
反対にデメリットはメリクロン株を利用した詐欺に引っかかるであったり、
特に往年のコレクターにとってですが、コレクション株の価値が下がるといった心理的な損失もあるかもしれません
(そもそも植物の価値は値段ではないと思いますが)。
そして販売者から見たメリットは、アガベの人気がさらに広い層に受け入れられて需要が高まる可能性があること。
逆にリスクとしては価格破壊が起こり市場が崩壊するということ。
こちらはメリットデメリットが表裏一体といった形でしょうか…
今後メリクロンが普及することによってアガベ業界が発展するのか衰退するのか、
はたまたしばらく現状維持を続けるのは分かりませんが、私自身アガベを販売することもある身からすると、
販売者側がしっかりと責任を持ち、いかに誠実に販売するかが大きなカギを握ると感じています。
不正などもっての他、アガベファンが離れ長期的な業界発展には決して繋がらないと思います。
おっと、熱くなってしまった、、
どちらにせよ一趣味家として今後の動向にも注目です。
補足
・メリクロン株の見分け方ってあるの?
―今のところメリクロン株とそうでない株を見分ける確実な方法はないというのが現実です。
・メリクロンと似たもので、成長点ではなく葉などの細胞をカルス化させ、そのカルスを再分化させて株をつくる「カルス培養」というものもあります。カルスとは簡単に言うと、すべての細胞の基になる細胞です。
・順化
無菌状態から通常管理に切り替えること。少しずつ菌に対する抵抗力をつけていき、無菌状態から通常管理に切り替えること。
最後に、、、
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